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2024.02.10
建築物の寿命を延ばし、居住空間の快適性を保つために重要なのが「コーキング」です。隙間や目地を特定の材料で充填し、外部の水分や空気の侵入を防ぐこの技術は、キッチンや浴室の水回りから外壁、内装に至るまで幅広く活用されています。
外壁塗装におけるコーキングの重要性は、建物の耐久性や防水性を高める上で欠かせない役割を担っています。
コーキングの適切なメンテナンスを行うことによって、建築物の寿命を延ばすことができます。劣化したコーキングを放置すると、建物の防水性や気密性が低下し、結果的に大規模な修繕が必要になることもあります。そのため、コーキングの状態は定期的にチェックし、必要に応じて専門業者による補修を行うことが推奨されます。このプロセスは、建築物を長期間にわたり安全で快適に保つために不可欠です。
この記事では、コーキングの概要や種類を踏まえた上で、コーキングの補修について解説します。
目次
コーキングとは、建築物の気密性や防水性を向上させるために、隙間や目地を特定の材料で充填することです。使用される材料のパテを、コーキング材やコーキング剤、充填材と呼びます。
コーキングと似た用語に「シーリング」がありますが、両者の間には明確な違いはありません。基本的には、どちらも同じ意味で使われる言葉です。
コーキング剤の選択は使用場所によって異なり、シリコン系は一般的にキッチンや浴槽などの水回りに、変成シリコン系は外壁や板金加工に、アクリル系は内装の目地に、ウレタン系は外壁の目地やひび割れの補修に適しています。それぞれの材料は耐候性、耐水性、耐久性などの特性が異なるため、適切なタイプを選ぶことが重要です。
コーキングの施工は、適切な下地処理と施工技術が重要です。下地が不適切であると、コーキング材の密着性が損なわれ、早期に劣化や剥がれが発生する原因となります。したがって、プロの施工業者による正確な施工が、長期的な保護と機能の維持には欠かせません。また、定期的な点検とメンテナンスにより、初期段階での小さな問題を見逃さずに対処することが、コーキングの機能を長く維持する鍵となります。
コーキングのメンテナンスや修繕は専門業者に依頼することが推奨されています。少しの修繕であればDIYで対応することも可能ですが、高所での作業や大規模な修繕は専門の知識と技術が必要です。定期的なメンテナンスにより、コーキングの劣化を防ぎ、建物の耐久性を維持することが大切です。
外壁コーキングは建物にとって非常に重要な役割を果たしています。特に、緩衝材としての役割と雨水の侵入を防ぐ役割があります。
外壁と外壁の間に注入されるコーキング材は、柔らかく伸縮性があるため、緩衝材のような役割を果たしています。これにより、地震や強風などの外部からの衝撃によって建物が受けるダメージを軽減し、外壁材のひび割れを防ぐことが可能です。また、雨や風によって外壁が損傷することを防ぎ、建物の耐久性を高める効果があります。
コーキングは、外壁同士の隙間を埋めることで水の侵入を防ぐ役割も持っています。これにより、外壁や建物内部への雨水の浸透を防ぎ、内部構造の腐食やカビの発生を防ぐことが可能です。特に、サイディングやALCなどの外壁材ではコーキングが欠かせない要素となっており、外壁の防水性能を高める上で重要な役割を果たしています。
コーキング材を主成分で分類すると、主に以下の5つに分かれます。
外壁塗装でコーキング材を選ぶ際には、使用場所や目的、外壁材や塗料との相性を考慮することが重要です。特に外壁材がコンクリートを素材にしたALC板の場合はウレタン系が、サイディングボードの場合は変性シリコン系が推奨されます。
コーキング材の選択には、耐久性、コスト、施工のしやすさ、塗装の必要性など多くの要因を考慮する必要があります。外壁塗装の品質と耐久性を高めるためには、適切なコーキング材選びが重要です。
アクリル系コーキングは、主に内装での使用に適しており、湿った場所でも施工可能で色の選択肢が多いのが特徴です。しかし、耐久性が低く、外壁塗装ではあまり使用されません。耐用年数は約5年とされていますが、コストが低いため、耐久性がそれほど求められない場所での使用に適しています。
ポリウレタン系コーキングは、耐久性が高く、塗料の付着性も良いため、外壁塗装に最適です。紫外線に弱いため屋外で使用する場合は塗装が前提となりますが、その分塗装後の汚染が少ないのが特徴です。一般的にはひび割れの補修や内外装の目地などに使用され、比較的費用も安いため、リフォーム時のコストを抑えたい場合におすすめと言えます。
ウレタン系コーキングは、一般的に屋内外で使用され、特に紫外線に弱いため屋外で使用する際には上から塗装が必要となります。乾燥に時間がかかるというデメリットがありますが、塗装の下地処理に適しています。
シリコン系コーキングは乾燥が早いため、ガラス周りや水回りなどで広く使用されています。しかし、塗料を弾いてしまうため、上から塗装ができないというデメリットがあります。
変成シリコン系コーキングは、シリコンという名前がついていますが、実際にはポリエーテル樹脂を原料として製造されています。このコーキング材は外壁や水回りなど多岐にわたる用途に使用され、塗装が可能なため外壁塗装との相性も良いです。耐久性はシリコン系に比べると若干劣るものの、一般的な使用には十分な性能を備えています。特に外壁の目地やひび割れの補修に適しており、高い密着性を持ちながらも施工には手間がかかります。
コーキングの寿命は一般的に5~10年程度です。経年劣化により、コーキングは硬化し、その柔軟性を失い、最終的には劣化のサインとしてひび割れや剥がれが発生します。
コーキングの補修が必要なことを示す劣化症状として、以下の6つが挙げられます。
これらの症状は、建物の防水性や気密性を低下させ、構造的な問題を引き起こす可能性があります。
コーキングのひび割れは、紫外線の影響や経年劣化が主な原因です。ひび割れが生じると、雨水の侵入を許し、建物内部の構造への悪影響が懸念されます。劣化が進行してコーキングが硬化すると、振動や地震によってもひび割れが生じやすくなります。ひび割れを放置すると、外壁材の腐食や雨漏り、カビやシロアリの発生リスクが高まるため、早急な補修が必要です。
剥がれは、コーキングの痩せや施工時の不備などが原因で発生します。コーキングの厚みが減り、密着性が低下することで剥がれが生じ、外壁材との間に隙間ができて雨水が侵入しやすくなります。
剥離は、コーキングが外壁材との間で密着していない状態を指し、隙間ができてしまうと雨水の侵入など、建物内部の構造自体の劣化につながる恐れがあります。このような場合は、早急な対策が必要となります。
肉やせは、コーキングが乾燥や経年劣化により体積が減少する現象のことです。コーキング材の柔らかさを保つ成分が時間の経過とともに外に出てしまい、質量が減少してしまいます。この状態になると、コーキングの防水機能が低下し、ひび割れや剥がれの原因にもなり得ます。
ブリード現象は、コーキング材に含まれる可塑剤が外に染み出し、コーキングの上の塗膜が黒く汚れる現象です。可塑剤はコーキング材を柔らかく保つために添加されていますが、染み出すことで外壁の見栄えに影響し、変色が広がることもあります。現在ではブリードを起こさない「ノンブリードタイプ」のコーキング材もありますので、補修時にはこのタイプの使用が推奨されます。
外壁コーキングの工法には、打ち換えと増し打ちの2種類があります。
打ち替えは、既存のコーキングを全て撤去し、新しいコーキングを施す方法です。この方法は耐久性が高く、劣化したコーキングを丸ごと新しくすることができるため、建材のメンテナンスにおいては最適な選択とされています。外壁の目地の隙間をしっかり埋めることができ、防水性や柔軟性を高めることができますが、手間や費用がかかるところが難点です。
増し打ちは、既存のコーキングを撤去せずにその上から新しいコーキングを重ねて施す方法です。この工法は、古いコーキングを撤去する手間や費用を抑えることができるため、短期間での施工やコスト削減を求める場合に適しています。しかし、劣化したコーキングの上に新しいコーキングを重ねるため、耐久性は打ち替えに比べて劣ることがあります。
打ち替えと増し打ちのどちらかを選ぶかによって、費用相場も変わってきます。
打ち替えの場合は1メートルあたり700~1,200円であるのに対し、増し打ちの場合は1メートルあたり500〜1,000円となっています。打ち替えよりも増し打ちの方が価格は安くなる傾向です。
打ち替えはコストが高いものの、長期的な解決を提供し、新しいコーキング材が既存の材料としっかりと結合し、全体の密封性を高めます。一方、増し打ちは費用を抑えられるものの、既存のコーキング材が劣化している場合には、新しい材料が適切に機能しない可能性があります。
一般的には打ち替えが推奨されています。しかし、特定の状況では増し打ちが適していることもあります。たとえば、窓枠やドアのサッシ周りでは、打ち替えを行うと防水紙を誤って切ってしまい雨漏りの原因になる可能性があるため、増し打ちが推奨されます。また、構造上既存のコーキングが撤去できない場合や、無理に撤去しようとすると建材を傷つけてしまう可能性がある入隅(壁同士が突き当たって凹んで見える部分)も増し打ちが適していると言えるでしょう。
ALC(軽量気泡コンクリート)外壁の場合、特に初回のメンテナンスでは増し打ちが多く行われます。これはALCがサイディングよりも厚みがあり、増し打ちでも十分な量のコーキングを充填できるためです。大手ALCメーカーでは、初回は増し打ち、次回以降は打ち替えというメンテナンススケジュールを推奨しています。
増し打ちが適切な場合でも、既存のコーキングが完全に劣化している場合は打ち替えを選びましょう。コーキングが浮いていたり完全に固まってしまっている状態での増し打ちでは、効果が持続しにくく、早期に再補修が必要になる可能性があるからです。
コーキングとは、建築物の気密性や防水性を向上させるために隙間や目地に特定の材料を充填する作業のことです。この作業で使用される材料は、一般的にコーキング材やコーキング剤、充填材などと呼ばれます。コーキングの目的は、建物を外部の水分や空気から守り、耐久性を高めることにあります。
コーキング材には、アクリル系、ウレタン系、ポリウレタン系、シリコン系、変成シリコン系など様々な種類があり、それぞれに特有の特性があります。たとえば、シリコン系は水回りに適しており、変成シリコン系は外壁や板金加工に、アクリル系は内装の目地に、ウレタン系は外壁の目地やひび割れの補修に向いています。選択にあたっては、耐久性、耐水性、耐候性などの特性を考慮して決めると良いでしょう。
外壁コーキングは、緩衝材としての役割と雨水の侵入を防ぐ役割を持っています。地震や強風など外部からの衝撃を吸収し、外壁材のひび割れや損傷を防ぎます。また、隙間を埋めることで雨水が外壁を通じて内部に侵入するのを防ぎ、建物の耐久性を高めることにも効果的です。
コーキングのメンテナンスや修繕は、経年劣化や外部の影響により必要になります。コーキングの寿命は一般的に5~10年程度とされており、ひび割れや剥がれなどの劣化が見られた際には補修が必要です。補修工法には、既存のコーキングを全て撤去して新しいコーキングを施す「打ち替え」と、既存のコーキングの上から新しいコーキングを重ねて施す「増し打ち」の2種類があります。打ち替えは耐久性が高いものの費用がかかり、増し打ちはコストを抑えられるものの耐久性が劣る場合があります。基本的には打ち替えの方がおすすめですが、場合によっては増し打ちの方が適していることもあるため、選択にあたっては建物の状態や目的に合わせて検討する必要があります。
コーキングの補修は、建物の長期的な保護と機能維持に不可欠です。専門業者に依頼することで、適切な材料の選定と正確な施工が保証され、建物の耐久性と機能を維持することができます。